大判例

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東京高等裁判所 昭和48年(う)2460号 判決

被告人 山村完二

〔抄 録〕

しかしながら、原審における証人須貝英助、同関根崇両名の各供述(原審第二回公判調書記載)、当審第二回公判において取調べた現行犯人逮捕手続書(原審においては訴訟関係人の同意が得られず、証拠として採用されていない)によれば、須貝証人は、被告人が当時同証人の店で飲食して、請求しても代金を支払わないので、約二〇〇メートルはなれた三条警察署神明町派出所に被告人と一緒に行き、勤務中の関根崇巡査に事情を訴え、同巡査は本署の指示を仰ぎ、詐欺の現行犯として被告人を逮捕したこと、逮捕時に被告人は金銭は一円しか所持していなかったこと等が明白であり、かような情況下では、被告人が刑事訴訟法第二一二条第一項にいう「現に罪を行い終った」場合に該当すると認められるから、本件現行犯逮捕は適法であり、当審第五回公判において提出された司法警察員に対する弁解録取書の記載により、司法警察員への引致後において犯罪事実の要旨および弁護人選任権の各告知ならびに弁解の機会を与える手続も採られていることが明らかであるし、前記関根崇の証言によっても、逮捕時において被告人が所論主張のように泥酔状態にあったものとは証拠上認められず、また当審第二回公判において取調べた被害者須貝英助名義の本件についての被害届には、所論主張のように未だ判明していない被告人の前科が記載されている事実は認められず(当審第二回公判において、弁護人は、その控訴趣意中、前記「被害届」に前科の記載があるとの主張を被害者須貝英助の「司法警察員に対する供述調書」にその記載があるとの主張に訂正しているが、右供述調書は、原審において、訴訟関係人の同意が得られないため、証拠として提出されないままになっているので、刑事訴訟法第三七九条の趣意に照らし右訂正後の主張は適法な控訴の理由として採用できないのみならずたとい所論主張のとおり、未だ判明しない筈の前科が記載されていたとしても、これは前記現行犯逮捕の適法性に影響をおよぼすものではない)。従って、以上の所論はいずれも前提を欠き、なお現行犯逮捕手続書は逮捕と同時に完成するものではないから現行犯人逮捕手続書を事後に記載して合法性を装ったとの所論の非難もまた相当ではない。

(吉田 大平 粕谷)

(昭和四八年追加分)

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